STUDIO POOL—BLOG

’16

Aug

5

ホゴケン GO / 保護犬ボーダーコリー #002

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【 ホゴケン GO 】シーズン1_02

「500マイル」

『では、先ずトライアル期間についてですが…』事務所に案内された我々は施設の代表者の方から説明を受けていた。驚いたのは数年前に息子が参加した大学での動物愛護活動シンポジウムの関係者だったということだ。本当にどこにご縁があるかわからない。トライアル期間中に保護犬の性質や行動、先住犬との相性なども含め本当にこの犬と暮らせるのかを検証し報告する義務が生じる。様々な書類を手渡され責任感と多少の不安が入り混じった心持ちで事務所を出た。夕方になったものの夏の日差しは我々とその犬の長く濃い影を作っている。その複数の影が一緒に車へと移動した。施設の方々に別れの挨拶をし車は静かに出発した。ゆっくりと遠ざかる施設はいつか観た映画のワンシーンの様だった。

ハンドルを握る息子の膝の上には先住犬のPuleがいつもの姿勢で車の揺れに身体を任せている。窓の外には田んぼの鮮やかな緑が流れてゆく。何度か振り返って確認する後部座席には我々と同じく不安げなボーダー・コリーが上目遣いでこちらを見ていた。警察や保健所、そして保護施設への移動は全て車であっただろう。想像するに彼にとって車はまた知らない何処かへ連れて行かれる狭く振動する箱であり居心地のよいものではないに違いない。500マイルの見知らぬ街へ 僕は出て行く500マイル…な心境かもな…と感傷に浸りつつも車内はこれまでにはなかった臭いが充満していた。我々が暮らしてきた大小のプードルたちの特徴は体臭のなさと抜け毛がないことだ。従って車に乗せてもその心配は皆無であったが、これからは違うのだ…ということをそのボーダー・コリーは先ず臭いでアピールしていた。

いよいよ家に近づきクレートやトイレシートを買いに走り、到着後の自分と息子は第一の共同ミッションに取り掛からねばならなかった。犬を綺麗に洗うことであった。三度のシャンプーにタオルドライ~ドライヤーでの乾燥に1時間を要した。その間も彼はとても大人しく半ば諦めた様な表情と態度でされるがままに従った。臭いもすっかり消え、洗いたての毛は艷やかでボーダー・コリー特有の背中のウェーブが美しい。おしりの辺りに膨らむ毛と長い尻尾が歩く度にリズミカルに揺れ、後ろ姿にときめいた。

(つづく) → #003

Lapu / ボーダーコリー / 動物たち

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