’14
Feb
5
5本指ソックス
もうかれこれ15年前になるだろうか。ある女子デザイナーが縞々でカラフルな5本指ソックスを履いていた。その手袋の様な靴下は指のひとつひとつが個別に包まれ、さぞ心地よいであろうと強烈に憧れたのである。実はシマシマカラフルにもちょっと惹かれていた。しかしながら日本男子たるものまさかシマシマカラフルな5本指ソックス（何故か単色があるとか、男性用があるとかが想像できなかった）を履くわけにはいかぬと諦め、時が経ち、最近は男性用のそれも見かける様になった。見かける度に履いてみたいという衝動が起こったが割りと直ぐに鎮火し購入には至らなかった。
先月のある日のことである。野暮用でコーナンに出向いた時に5本指ソックスがふと目に止まった。黒・紺・グレーの色が選べ、5足セットであった。15年前のあの憧れが走馬灯のように思い出されそこに立ち尽くす自分が居た。気がつけばレジで精算を済ませていた。いよいよ5本指ソックスの心地よさを味わう日がやってきたのだ。シマシマカラフルではないが指のひとつひとつが個別に包まれる快感はどのようなものであろうと想像力がかきたてられた。翌朝、出掛けの前に平静を装い普通の靴下よりも少し時間のかかる5本指ソックスを履き終えた。足元を上から見てみる。靴下を履いているのに指がバラバラに動くのが見える。当たり前だ。それは5本指ソックスなのだから。靴を履き、歩き始めたときにふとその違和感は感じられた。ん？…なんだこれは？ な微妙な違和感なのだ。
ここからは図で説明しよう。水色の部分は確かに指と指が直接触れずに心地よい。がしかしである。ピンクで示す部分、つまり指の付け根に当たる水かきの部分に靴下の布が当たり、今までは感じたことのない感触が付いてまわるのだ。いつか慣れるはずだとその日はそのまま過ごしたが、結局靴下を脱ぐまで、歩く度にその違和感を共にした。コーナンで購入した安物の5本指ソックスのせいであろうか。もう少し高いものを買えばその違和感も感じずに快適に過ごせるのであろうか。幸いソックスデザイナーをしている親しい女性が居る。近いうちに現物を見せ、指導を受けようと思う次第である。
