STUDIO POOL—BLOG

’07

Nov

1

暗い狭い怖い…ムリ

64da2d28.jpg実は小生、猛烈に閉所恐怖症である。

高いところは全然平気で
建築現場の足場を組むバイトも楽しかったし
ジェットコースター芸をたしなみ
バンジージャンプは二度ほど経験済み。

がしかしである。
閉じ込められるのは死ぬほど怖い。
車のトランクに閉じ込められるくらいなら
ビルの屋上から突き落とされる方が
生存率は高いであろう。

独立してからこの18年、健康診断なるイベントを
ことごとく蹴散らしてきた。
何かでひっかかろうものなら あの恐怖の筒に放り込まれるからだ。
どう見ても人間がひとりギリギリ入るのがやっとのあの筒、
そう MRI なる体内の画像を撮影する装置に
何十分も挿入されるのを想像するだけで身の毛もよだつ。

さういう小生もついに年貢の納めどきが来たのだ。

ここ最近どうも左足先に力が入らず、
歩いていても妙な違和感がある。
痛みは全くないので軽い気持ちでとある診療所に相談した。
腰からきてる可能性が高いと診断され、
触診する先生の手が喉の辺りで停まり
甲状腺も腫れてますねと自宅近所の大学病院への紹介状を受け取り
はて? と思いつつも翌日には自動的に検査へ。

大学病院内で スタンプラリーがスタート。
整形外科→神経内科→耳鼻咽喉科→内分泌科…
とあっと言う間に 4科をハシゴ。
科が変わるたびに初心受付なる儀式を受け、
移動の合間に採血、尿検査、レントゲン、心電図と
ある意味リズミカルにコトは進んで行く。
再び整形外科にまわされレントゲン写真を見ながら医師は
あの恐怖のひとことをつぶやいた。

「レントゲンではわかりませんねえ。
 後日 MRI 予約入れときますから。」

ほら見ぃ!言わんこっちゃない!Σ(TロTll)
これやから検診とかイヤやったんやっちゅううううううねん!!!!
帰路をとぼとぼ歩く小生の長い影は猫背だったに違いない。

MRI予約日の10月31日ついにこの日が来たのだ。
受付カウンターでハロウィーンのかぼちゃが小生を見てせせら笑う。
変に考えると帰りたくなるので 出来るだけ何も考えず、
平気なフリを装って着替えを済ませ技師に案内されながら
MRIのあの細長い寝台に横たわった。
優しく丁寧に説明をしてくれる技師の言葉、遮音用のヘッドフォンが
なぜか恐怖心をあおる。
そして 装置が頭だけのところに進んだとき思わず声を出してしまった。

「ちょっと待って やっぱり無理です!」

恐怖におびえながらも 「MRI」ローマ字読みで「ムリ」… クスクス
ちゃうちゃう!そんなん考えてる場合ちゃうねん!

ウィーンという機械音とともにまた元の状態に戻り再び説明を受け
どうしてもダメだったら今日はあきらめましょうと諭され
緊急用のボタンを握りしめゆっくりとあの狭い筒へ挿入されて行った。
走馬灯のように今までの人生やお世話になった方々の顔がまぶたに現れては消え
聞こえるはずもないボブ・マーレイの歌やフランス国歌が聞こえ
これまでの罪を反省し 生かされている現状に感謝した。

あの20分間は 忘れたくても一生思い出せないだろう。

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