STUDIO POOL—BLOG

’24

May

11

手書き文字の思い出/ハングル編

先日買い物中に見かけたコチュジャンのパッケージに若い頃のある記憶が蘇った。まだ携帯もネットもなかった頃、勤務先にコチュジャンのパッケージデザインの仕事が舞い込んだ。さて緊急にハングル文字で『コチュジャン』をどう表記するのかを調べなければならない。ペーペーの自分にコリアンタウンでコチュジャンを仕入れるというミッションが課せられた。韓国漬物店に入りコチュジャンが欲しいと伝えたが気がつけば透明の容器に入ったコチュジャンそのものを手渡されていた。それはそれで美味しそうなので購入し、実はカクカクシカジカで『コチュジャン』のハングル文字表記が知りたい、できればラベルのあるパッケージが欲しい旨を伝え直した。漬物店のお母さんが韓国語で店の奥に何やら話しかけるとスーッと引き戸がスライドし、それはそれは目元の涼し気な美人なお姉さんが少々面倒くさそうに店に降りてきてこちらをチラリと目視した。お母さんは「コチュジャンってハングルで書いたげて」(実際は韓国語だったがそう言ったに決まってる)と娘さんであろうお姉さんに指し示した。更に面倒くさそうな仕草でメモ用紙に鉛筆でとサラサラッと書いたかと思うとその紙をちぎり、母親に渡しながら無言で奥に戻って行った。僕は頭を下げながら両手でそれを受け取った。メモ用紙には硬筆楷書で「고추장」と書かれていた。とても美しい手書きの文字にしばし見惚れてしまった。見慣れぬ手書きのハングルはとてもかっこよかった。お礼を述べつつお店を後にし、会社に戻りコピー機で自分用に複製し大事に保管していたはずなのにいつの間にか失くしてしまい真に無念である。しかしながら脳裏にはしっかりとあの美しいハングルが残っている。美しいお姉さんの顔も残っている。

#고추장 #コチュジャン #ハングル

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