Portrait
長嶋茂雄(ミスタージャイアンツ)
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長嶋茂雄監督と団扇
2001年のある日 野球中継を観ていて我が目を疑った。なんとベンチ前の長嶋茂雄監督が 自分のデザインしたキャラクターの団扇を持っておられるのである。何がどうなって長嶋監督の手にそれが渡ったのか狐につままれた気分であったが慌ててその中継を録画した。我々世代にとって長嶋茂雄という方は兎に角特別な存在で、ミスタージャイアンツが現役で活躍されていた姿はもちろんのこと、引退セレモニーもテレビの前にかじりついて感傷に浸って栄光の背番号3を眺めた。ブラウン管の中から響いた「我が巨人軍は永久に不滅です」のエコーの効いた言葉が今も耳にはっきりと残っている。その長嶋茂雄というスーパースターがいくら間接的すぎるとは言え20年後に自分が描いたキャラクターの団扇を手にされているのは紛れもない事実であり、興奮やら感動やら何故か焦燥感にも駆られ、じっとしていられなかった。巨人ファンであった父親や叔父を喜ばせようといざダビングの準備を始めて愕然とした。別番組が録画されていたからである。当時はネット上に残る仕組みもなく我が愚鈍を呪うまま時が過ぎた。あれから18年…。今よりはるかにデジタル化が進み、過去全ての番組が視れる日が来ることを願いつつ。